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足関節捻挫(足首の捻挫)

 一般的に捻挫と言えば、足関節捻挫を意味するぐらい発生頻度の高い捻挫ですが、その病態は様々で、甘く考えると後遺症などに悩まされるケースもあります。
 このページでは、足関節捻挫の適切な対処の指針として活用されるように、その詳細を紹介します。

 

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 足関節捻挫の病態とその分類

 足関節捻挫は、その発生 機転や病態により様々に分類されています。
 発生機転の観点では、主に足関節の内反強制(内返し)と外反強制(外返し)に分けられますが、そのほとんどが足関節の内反強制(内返し)により起こります。
 病態の観点では、足関節を構成する組織の損傷箇所や程度により、T度、U度、V度と分類されていますが、これは整形外科医が固定や手術の判断の目安としています。

※足関節内反捻挫における組織損傷の程度による分類

T度(軽度損傷)
 足関節の外側靱帯に圧痛があるが、歩行や関節運動に際して、支障を来すほどの痛みはほとんど無いか、あっても軽い。(多くは、外側靱帯の軽度損傷。)

U度(中程度損傷)
 足関節が著しく腫れて、歩行や関節運動に際して痛みを伴い困難である。自動的・他動的に関節を動かすことが可能であるが非常に痛みを伴う。(多くは、外側靱帯の部分断裂。また、内側靱帯や脛腓靱帯の損傷を伴う場合もある。)

V度(重度損傷)
 足関節が著しく腫れて、歩行や関節運動はほとんど不能。自動的・他動的に関節を動かすことも痛みのために非常に困難。また、他動的な関節運動に際し正常では有り得ない異常可動性がみられることもある。(外側靱帯の完全断裂、足関節の亜脱臼、腓骨外果の剥離骨折、内側靱帯断裂、腓骨下端部骨折、脛骨内果骨折などの単独あるいは複合損傷。)


足首の内反(内返し)
この様に外くるぶし側が伸ばされる


足首の外反(外返し)
この様に内くるぶし側が伸ばされる

 



※ 私の施術活動において、単純な診察では、T度と見られる症状でも、腓骨外果の不全骨折を発症していた症例を体験したことがあります。従がって、上記のような分類で安易に判断するのは危険であると思います。 たいして腫れていないのに一ヶ月以上経過しても痛みが引かないなどの場合は骨折も疑うべきと考えます。軽い捻挫と思っても、直ちに整形外科など専門家の診察を必ず受けてください。
 

 


見た目は軽い捻挫のようであったが
レントゲンでは、腓骨の先端が骨折していた



拡大写真
腓骨の先端にひびが入っているのが見える



約一ヶ月後の影像
かなり修復されているがまだ痛みが残っていた


 

 

1.足関節内返しによる捻挫(内反捻挫)

 足関節の内返し捻挫は、最も頻度の高い捻挫のひとつと言えます。段差や階段を踏み外して捻ったり、躓いて捻るなどの日常多く見られる原因のものや運動中のアクシデントによる場合においても良く見られます。
 一般的に足関節の捻挫は、全て同じ病態に考えられているようですが、専門家から見ればその病態の分類や判定は、治療の上で非常に重要となります。以下に足関節内反捻挫による、靱帯やその他の組織の損傷箇所の種類とその 症状を解説します。

@足関節外側靱帯損傷

 内反捻挫の大半が、この外側靱帯損傷を生じます。
 足関節の外側靱帯は、いわゆる足首の外くるぶし(腓骨外果)と距骨、踵骨を繋ぐ靱帯で、前方より、前距腓靱帯、踵腓靱帯、後距腓靱帯で構成されています。これらは、足関節の関節包靱帯を補強し、足関節の動きを制御する働きがあります。
 軽度の内反捻挫では、前距腓靱帯のみの損傷であることが多く、腓骨外果前面(外くるぶしの前)辺りに圧痛と腫脹がみられます。
 重症になると、前距腓靱帯と踵腓靱帯が断裂し、関節包靱帯も損傷します。
 関節包靱帯の損傷を伴うと、出血や腫れが顕著となり、足が着けないほどの痛みとなります。

A前脛腓靱帯損傷

 足関節上部で脛骨腓骨間を繋ぐ靱帯で、内反捻挫を起こした際に脛骨腓骨の間が広がるように外力が働き靱帯が損傷されます。
 足関節は、脛骨と腓骨の間に距骨が嵌るような構造をしています。捻挫を起こすとこの距骨が傾いて脛骨と腓骨を引き剥がすように広げてしまいます。このために内反捻挫でこの靱帯を損傷することがあります。
 頻度としても意外と高いのですが、案外見逃されてしまいます。

B二分靱帯損傷

 踵骨前方と立方骨を繋ぐ踵立方靱帯及び踵骨前方と舟状骨を繋ぐ踵舟靱帯を合わせて二分靱帯と呼ばれています。足の外くるぶし(外果)よりもやや足先寄りの甲の部分に痛みや圧痛(押した痛み)、腫れを生じます。この靱帯は、ヒールの高めの靴を履いたときに内反捻挫を起こしたり、やや前方へ足関節が伸ばされるようにして内反捻挫を起こしたときに損傷します。
 同じ場所に痛みや腫れを生じる損傷に踵骨前方突起骨折があります。痛みや腫れがひどい場合は、この様な骨折を生じていることもあるので、きちんと医師の診察を受けましょう。



左足関節外側面/靱帯の位置略図


右足首(足関節)前面X線像
腓骨と脛骨で距骨を挟むように関節する
オレンジ色の線の辺りに前脛腓靱帯が存在
 


 

2.足関節外返しによる捻挫(外反捻挫)

 足関節の外返し捻挫は、内返し捻挫と比較して非常に頻度は低いといえます。多くは、不整な路面(でこぼこ道や砂利道)での捻挫や足関節の外反変形あるいは外反偏平足などの足の形態的・機能的異常を有する場合に起こりやすいといえます。

@足関節内側靱帯損傷(三角靱帯損傷)

 足関節の内くるぶしに、三角形状をした靱帯がありこれを三角靱帯と呼んでいます。この靱帯は4本の靱帯で構成され、非常に強力な靱帯です。そのため、ひどい捻挫を起こすことは稀れで、強い捻転などの外力を受けた場合は、脛骨内果の骨折を生じることも多く、また腓骨の骨折を伴うことも珍しくありません。
 通常は足の外返しで起こり、坂道の上りやスケートボードなど足関節の背屈肢位で足首を捻ると外返し捻挫を起こす頻度が高まります。

※ 三角靱帯:前脛距靱帯・脛舟靱帯・脛踵靱帯・後脛距靱帯の4つの靱帯から構成される。その靱帯の配列から三角形状に見えるため三角靱帯と呼ばれる。

A底側踵舟靱帯損傷

 外返し捻挫で稀れに起こります。三角靱帯の一部の脛舟靱帯と共に痛めることが多いようです。この損傷は、外反偏平足や外脛骨といった足の変形を有する場合に多く、足の縦アーチが偏平な場合や足関節の外反あるいは後足部に対し中足から先が外反している足の場合は習慣性となることもあります。



左足関節内側面/靱帯の位置略図

 

   


 足関節捻挫の応急処置

 足の捻挫を起こしたら、まず座って捻挫した脚を真っ直ぐ寝かせた状態にしてください。冷やすものがあればすぐに患部を冷やしましょう。包帯や足首のサポーターなどがあったら固定もしてください。通常、時間経過と共に腫れや皮下出血が出現します。できるだけ速やかに、専門医などの診察と治療を受けてください。軽い捻挫と思っても、動いているうちにだんだん腫れてきて足が着けなくなることもあります。まずは安静にして 、冷湿布などで冷やし、様子をみましょう。
 

1.アイシングの手順
 


冷蔵庫などで冷やしたアイスパック
(氷嚢や氷をビニール袋に入れたものでも可)
 


タオルなどで包む
(直接当てると冷えすぎて痛くなる)
 


足を台や枕などに乗せて寝かせる
アイスパックはベルトなどで固定する
一回のアイシングは約15分から20分
 

2.包帯・テーピングなどによる固定
 



慣れれば数分でできるテーピング固定
応急処置として最適な固定法
しっかりしたサポーターや包帯でも良い
 


 捻挫を生じたら医療機関に行くまでの間に応急処置としての固定をしておくと患部の悪化を防ぐことができます。足関節をほぼ直角にして、包帯やテーピングなどで固定しましょう。
 固定をしないと、足首が動く度に靱帯の傷口が開いて出血や腫れがひどくなってしまいます。
 出血や腫れがひどくなると、その吸収に時間がかかり、出血した血液や滲出したリンパなどに含まれる線維が吸収しきれずに残存することになります。これらの線維は、傷口を塞いで靱帯などを修復する働きがある反面、過剰に残った繊維は関節をこわばらせることになります。また、瘤 (こぶ)のように残った繊維の固まり(過剰な瘢痕形成:はんこんけいせい)が後遺症のような痛みをいつまでも残すことがあります。
 できるだけ早く安静固定を確保することが、早期回復につながります。

※固定期間の目安

 軽度の捻挫(内出血や腫れが少なく、痛みは感じるが歩行が可能な状態)
  固定期間:10日から2週間

 靱帯部分断裂を生じた捻挫(内出血や腫れが顕著で、歩行も痛みにより困難な状態)
  固定期間:3週間から4週間

 重度の捻挫(靱帯の完全断裂や骨の剥離骨折または不全骨折などを伴う、歩行は不能)
  固定期間:6週間以上

     

 

 足関節捻挫の予後

 通常は、初期の安静固定がしっかりできていれば、予後は良好です。
 軽い捻挫であれば10日ぐらいの安静固定により、運動もできるようになります。
 腫れや皮下出血の顕著な場合は、3週ぐらいの安静固定とその後3週ぐらいのリハビリ期間を要します。
 靱帯の完全断裂やそれに近い損傷では、靱帯の再生が不完全あるいは全くできない場合もあり、関節が不安定のままとなってしまうこともあります。また、初期の処置が不十分で特に固定がしっかりしていないと、靱帯が緩んだ状態となり、捻挫がくせになる(習慣性捻挫)こともあります。この様な関節の不安定な状態が残ると、関節軟骨などに負担がかかり、関節の変形などの関節症を引き起こすこともあります。( 二次性変形性関節症)
靱帯が再生されず関節が不安定な状態となってしまった場合は、整形外科で手術を受けるか、サポーターなどの装具を常用するなどの方法が考えられます。


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Copyright © 2005 秋元 英俊 最終更新日2009年6月9日

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