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腰痛・ぎっくり腰など
 腰痛やいわゆるぎっくり腰には、様々な原因や病態が存在します。適切な治療、あるいは自己のメンテナンスに際し、その腰痛を起こす根本的原因を見極めることが大切です。
 このページでは、医療機関や民間療法を選択する際の指標となるよう、また腰痛で悩む方々の適切な対処の一助となるように、様々な腰痛の情報を紹介します。

 腰痛の原因
 腰痛の原因には様々なものがあり、腰痛を解消するためには、まずその原因を特定することが大切です。
 腰痛の原因を大きく分けると、筋・骨格器系の障害、姿勢異常や歩行異常、労働やスポーツによる疲労、外傷、消化器系疾患、循環器系疾患、神経系疾患、腫瘍、内分泌性疾患などとなります。

 疲労性腰痛
 疲労性腰痛には、立ち仕事やデスクワークによる長時間の同一姿勢、作業における腰部や脚部の反復動作、スポーツなど日常から腰に継続的な負担をかけて生じるケース(慢性疲労)と、大掃除や雪かき、引越しや運動会などふだん行わない動作をして、自身の耐久限度を超える負担を受けたときに生じるケース(急性疲労)があります。
 急性疲労の場合は、短期間の安静またはコルセットなどの固定と冷湿布により、通常は速やかに回復しますが、回復する前に無理をすると慢性障害に至ることも多いので、スポーツや労働に復帰する際には、専門家の判定や意見に従うのが大切です。

 慢性疲労によるものは、その原因の特定とマイナス要素の改善が大切で、同一姿勢の多い環境では、ときどき姿勢を変えられるようにするなど、腰痛を招く環境の改善が重要です。

 外傷性損傷による腰痛
 外傷性損傷による腰痛は、いわゆるぎっくり腰を含め、運動や労働などの際に腰部の筋肉や骨・軟骨・靱帯などに耐久力を超える負荷を受けたとき、「肉離れ」「筋膜炎」「靱帯損傷」「軟骨損傷」などを生じたもので、急性の椎間板ヘルニアも含まれます。また、転倒により腰椎椎体圧迫骨折、腰椎椎間板損傷、腰椎分離すべり症、棘突起骨折、横突起骨折などを起こすこともあります。
 外傷性損傷による腰痛で問題となるのは、損傷後の後遺症として慢性的な腰痛が残存したり、腰部や臀部、下肢などの神経障害(しびれや痛みの放散、筋力低下や筋萎縮、歩行障害などを招く)を生じてしまうことがあることです。
 これらの後遺症の原因としては、治療のための長期臥床や長期固定による筋萎縮、外傷の衝撃や強い疼痛により起こる反射性筋萎縮や反射性交感神経性障害による代謝異常、骨や軟骨の変形治癒による神経の圧迫、あるいは、損傷した筋肉の瘢痕形成や筋硬直による突発性側弯症の残存から起こる疼痛や神経障害などが考えられ、診察や予後の判定に苦慮するケースがとても多いといえます。
 外傷性損傷による腰痛では、外傷に対する早期の適切な処置(安静・固定・手術など)とリハビリや物理療法(電気治療や運動療法など)の開始時期や手段の見極めが重要となります。

 姿勢異常と歩行異常
 姿勢異常と歩行異常は、密接な関係にあり、姿勢が悪くて歩行動作に異常がでる場合と歩行動作に異常があり、その結果徐々に姿勢が悪くなる場合があります。どちらにしても、骨盤や背骨に歪みがあると慢性的な腰痛や原因がはっきりとしない突発的な腰痛を生じます。
 姿勢異常で最も多く見られるのは、腰椎の過剰な前弯(腰椎が過剰に前に反っている)や骨盤の過剰な前傾(骨盤の上方が過剰に前に傾斜する)により腰が前方に強く反った状態で、肥満や運動不足による腹筋の筋力低下や長時間の座位による腸腰筋の硬直などが原因で起こります。
 その他に骨盤の左右差(身体の基準線に対し骨盤の左側と右側の位置関係が著しく不均等な状態)や脊柱の側弯などの姿勢異常を原因とするものも多く見られます。
 腰痛を起こす歩行異常で最も頻度が高いのは、かかと歩き(ヒールストライク)とがに股歩きです。足の指先が地面をしっかり捉えていないと、重心はかかと側に移動し、指先が浮いてしまします。そのままでは不安定なので、無意識に上体(この場合背中から上)を前方に丸め(ねこ背の状態)て、バランスをとってしまいます。こうなると骨盤は 過剰に前傾(前に倒れる)し、股関節屈筋である腸腰筋の緊張と短縮が起こります。すなわち、腰においていわゆる反り腰の状態となります。過剰な反り腰は慢性腰痛の代表的な原因といえます。また、がに股歩きでも、膝と股関節を曲げて歩くために股関節屈筋の腸腰筋に短縮や硬直が起こり、やはり反り腰になってしまう場合がほとんどです。
 姿勢や歩行バランスの改善には、腰痛体操、ストレッチ、整体治療、足部の形態的あるいは機能的異常の修正(足底板やインソール、歩行訓練など)が必要となります。

 筋・骨格器系の障害
 筋・骨格器系の障害には、腰椎椎間板症および腰椎椎間板ヘルニア 、変形性脊椎症、腰椎椎体分離症、腰椎椎体すべり症、腰椎椎間関節障害、傍脊柱筋群障害、脊柱管狭窄症、その他先天性骨系統疾患などがあります。これらは、先天的あるいは、後天的形成異常のものと腰椎や椎間板の疲労性骨・軟骨障害あるいは組織変性によるものに分けられます。
 これらの障害は、完全に治すことがほとんど不可能で、治療も症状を緩和あるいは除去するためのものとなります。
 整形外科の管理下で対処することが大切です。

 消化器系疾患による腰痛
 胃・十二指腸、肝臓、小腸や大腸、胆のう、すい臓などの消化器系疾患により腰痛を感じることがあります。内臓疾患によりその臓器を取り巻く腹膜などの組織が炎症を生じるとその周辺の組織に炎症が波及したり、腫れにより圧迫することで背中や腰に痛みを感じるのです。また、脊髄より内臓近辺の組織に分布している知覚神経なども刺激されるためにその脊髄神経のレベル(例えば第12胸髄神経など)と同じ系列の知覚神経に関連痛や放散痛が起こることもあります。

@ 胃・十二指腸の疾患による腰痛  腰部の上の方、あるいは肩甲骨よりやや下の高さの背部に痛みを感じることがあります。おなかのおへその上の方に痛みがあったり、悪心、嘔吐などを伴う場合は、内科や胃腸科で診察を受けてください。

A すい臓の疾患による腰痛  腰痛というよりも背部痛で、仰向けに寝ると痛みが強くなり、膝を抱えるような姿勢をすると痛みが和らぐことがあります。腹部では、みぞおち辺りに痛みが起こります。このような症状が出現する場合、すい臓癌や急性膵炎などの疑いがあるので、急いで内科の診察を受けてください。

B 肝臓・胆のうの疾患による腰痛  背部や腰部の痛みとともに、吐き気や食欲不振、おへそよりも上の腹痛を生じます。胆石などでは、激しい痛みと発熱も伴い、緊急を要します。

C 食べすぎによる腰痛  食べすぎや飲みすぎなどで、胃腸やすい臓、肝臓に負担を掛けすぎると、消化器系症状と共に、腰痛を感じることがあります。多くは、腰よりもやや上の背中に、腫れるような痛み(主に鈍痛)を感じます。これは、すい臓に負担がかかりすぎた場合起こると云われています。この場合は、1日食事を控えれば症状は治まることが多いようです。また、胃腸の消化不良で下痢を起こしているときや逆に便秘でも、腰や骨盤の辺りに痛みを感じることがあります。

 腎臓・尿管などによる腰痛
 腰部よりも側腹部(わきばらのあたり)や鼠径部に強い痛みを起こすことがあります。この様な場合は、腎臓や尿管などに結石を生じていることが多く、緊急を要します。救急病院や内科、泌尿器科で診察を受けてください。

 その他の原因による腰痛
 上記の内臓疾患以外にも、腹部大動脈瘤、大動脈解離など緊急を要する疾患や、子宮や卵巣疾患など婦人科系疾患、帯状疱疹(ヘルペス)による神経痛などがあります。原因のはっきりしない腰痛や安静時にも強い痛みのある腰痛では、内臓疾患などによる関連痛であることも多いので、自己判断せず医師の診察を受けることを薦めます。

 腰痛の応急処置
 通常は、コルセットやさらしなどで腰と骨盤を固定し、安静にすることが第一です。筋・筋膜性腰痛などの急性腰痛では、アイシングなどにより患部を一時的に冷やしてください。その後、コルセットやさらしなどで固定すると良いでしょう。尚、固定による圧迫で返って痛みが増す場合は、内臓疾患や腫瘍の可能性もあるので、そのような場合は、固定をせず痛みが最も楽になる姿勢で安静を保持し、速やかに医師の診察を受けることをお薦めします。

 腰痛の予防
 腰痛の最も起こりやすい条件に、腰部周囲の筋肉や関節が固くなっていることがあげられます。疲労の蓄積、筋肉の伸縮性の低下や萎縮、靱帯の硬直などで腰部の運動範囲が狭くなると、わずかな動作で腰を痛めたり長時間の労働に耐えられなくなったりします。やはり、腰部周囲の筋肉の柔軟性を高め、耐久力を向上することが予防に大きく効果があります。以下に、カサハラ式腰痛体操を紹介しますので参考にしてください。

 腰伸ばし運動
(前後の歪みの調整)

 

 初めは正座をしてから前に手を伸ばし骨盤と腰椎の間を伸ばすように行う。
 動物が本能的に行う自然矯正法で、この姿勢で伸びをする。
 骨盤の上に腰椎がバランスよく乗ってきて、次の行動に備えられる。
 膝かかえ運動
(反りすぎた腰椎の調整)

 

 初めは両膝を持ち、頭を上げ膝をひきつける。その体制で軽くローリングする。
 反りすぎている腰椎を、腹圧を高めることにより、正常位置に押し戻すことができる。
 両膝をしっかり抱え込み、ぐっと引きつけて2〜3分耐えるようにがんばる。
 捻転運動
(左右の歪みの調整)

 

 仰向けになり片膝を立てる。次に立てた膝を反対側にもっていき、上半身は膝とは逆側にゆっくりひねる。
 骨盤とその上に乗る上半身の片寄り、左右のねじれを戻し、骨盤と腰椎および胸椎下部の調整ができる。
 仰向けの状態で膝を曲げ、上半身と下半身を相反する方向へひねる。左右交互に繰り返すとよい。
 逆捻転運動
(ねじれと左右の歪みの調整)

 

 片膝を立てたらその脚を外側に倒し、上半身を丸めて脚を倒した側に向く。反対の脚を骨盤と共に上半身とは逆方向に捻る。
 特に前内方にねじれた骨盤と腰椎の歪みを回復する。
 仰向けの状態から片膝を立て反対側の手で膝を押さえ、外側に開くようにする。片方の下肢は伸ばしたままで、上半身は丸めながらそれぞれ相反する方向にゆっくりひねり、約30秒止める。
 開脚運動
(股関節の調整)

 

 両足の裏を合わせて身体の方へ引き寄せる。背筋はしっかり伸ばし、胸を下につけるように前屈する。
 大腿骨頭と股関節のズレを調整し、股関節の柔軟性を高め、その上に乗る骨盤の安定を保つことができる。
 背筋を伸ばしながらゆっくり前屈し、その位置で2分前後止める。前屈しにくい人は両膝を上下にゆさぶるように動かすとよい。
 そんきょ運動
(股関節と骨盤の調整)

 

 脚を肩幅よりも大きく開き、腰を落とすように膝をまげて、両膝に手をあて、背筋を伸ばしたまま左右にひねる。
 股関節、骨盤、腰椎のバランスを調整する。
 相撲のように瞬間的な激しい動きをする前には欠くことのできない準備運動です。両膝に手を置き、背筋を伸ばしながら両脚をできるだけ開くようにする。左右交互にゆっくり伸ばすようにひねる。
 

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Copyright © 2005 秋元 英俊 最終更新日2011年2月1日