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<足部と足指の骨折>

 足部と足指の骨折は、比較的頻度の高い骨折です。スポーツ中のケガとしても多いのですが、階段を踏み外したり、柱や物に足指をぶつけるなど日常の小さな事故でも非常に多く見られます。

 

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 足部の骨の構成

 足部には、踵(かかと)や足関節(足首の関節)などを構成する足根骨と足の甲を構成する中足骨があります。
 

上のレントゲン写真は、足の内側でやや足裏側から斜めに撮影したものです。
 

 




こちらは、足を上から撮影したもの。

       


 足部・足趾の骨折の種類と概要

 足部は、捻る、突く、打撲するなどの外力を受けやすい部位であるため、骨折の頻度も高くなります。その中でも、比較的遭遇しやすい骨折を解説します。

1. 趾骨骨折(足指の骨折)
 趾骨骨折 の多くは、躓く(つまづく)、ぶつけるなどの突き指により起こるものと、足指に物を落としたり、相当な力で強く踏まれたりした場合に起こるものがあります。これを外傷性骨折といいます。一方、長時間の負荷や繰り返される捻れなどにより起こる疲労骨折もあります。

@ 外傷性骨折
 足の指の骨折は、テーブルの脚や柱などに強打・突き指して起こすことも多く、とても頻度の高い骨折といえます。中でも、4趾、5趾の突き指による骨折が目立ちます。
 また、サッカー、柔道、レスリングなどのコンタクトスポーツでは、母趾の骨折も非常に多く、突き指の他、踏まれたり過剰な屈曲を強いられたときに生じます。
 右画像@は、テーブル運搬中に自分の足の上にテーブルを落とし、テーブルの脚による強打で骨折したもの。(粉砕骨折)
 右下画像Aは、足の第2趾を突き指した際に起こった骨折。突き指により趾節間関節が強く屈曲され、その際に関節靱帯に急激に引っ張られることにより関節靱帯の付着している部分が剥離 (はくり)されたもの。(剥離骨折)

症状と経過
 骨折部位の圧痛・腫脹・皮下出血を生じ、骨片の転位(ずれ)のある場合は、肉眼で分かるぐらい変形します。
 足指の強打・突き指による骨折の多くは、骨の転位(ずれ)の無いものが多く、テーピングや副子(ふくし:添え木のようなもの、足指では、アルミ製の副子が使われることが多い)でしっかり固定し、3週間ぐらいの患部の安静を確保できれば、後遺症も残さず予後も良好です。しかし、3週間経過しない内に、固定をはずしたり、無理に動いて負荷を掛けると、骨折部に過剰仮骨が形成されて、骨折した足指が太くなったり、腫れがなかなか引かないなどの後遺症を生ずることがあります。
 骨片転位のあるものは、矯正してから固定します。この様な転位のある骨折では、矯正・整復後も再転位する恐れがあるため固定期間を長期に施行することとなり、固定方法もしっかりしたものとなります。
 予後も転位の無いものと比べて不良で、足指の関節可動範囲が狭くなり、靴による圧迫や歩行時の踏み返しで慢性的な疼痛を訴えるケースも多く見られます。

A 疲労骨折
 外反母趾などを誘因として、母趾の基節骨に疲労骨折を生じることがあります。外反母趾により母趾に捻れや指先が上に向いて反るなどの変形を有すると、スポーツなどによる繰り返しの負荷で基節骨に疲労骨折を起こします。通常は、6〜8週の固定とその後約2〜3週の安静で治癒します。

     


2. 中足骨骨折

 中足骨の骨折は、足の上に物を落としたり、踏まれたりなど外傷を受けやすい部分で、骨折の頻度も高いといえます。また、外反母趾や浮き指など足の不安定要素と反復する外力の影響で疲労骨折を生じるケースも多い部位です。

@ 外傷性骨折
 自動車の車輪などに踏まれる、あるいは重量物を足に落としたときなどに起こります。2〜3本即ち複数の中足骨が骨折する症例が多くみられます。複数の中足骨に転位(ずれ)のある骨折を生じた場合や1本の骨が3つ以上に骨折(複合骨折・粉砕骨折)した場合は、手術などの観血的処置を要します。

A 第5中足骨基底部骨折(下駄骨折)
 足を内返し捻挫した際に、下腿より足の外くるぶしの後方を通って第5中足骨基底部に付着する短腓骨筋腱が引き伸ばされ、その腱の牽引力により捻じ切れるような感じで骨折を生じます。骨折型は斜骨折やらせん骨折を呈することが多く、足首の捻挫として処置され骨折が見逃されるケースもあります。骨の転位(ずれ)がある場合は手術による処置を行うこともありますが、通常は固定により4週ぐらいで骨の癒合が完成します。

B 疲労骨折(第5中足骨Jones骨折および第2中足骨行軍骨折)
代表的なものに、第2中足骨に起こる行軍骨折や第5中足骨に起こるJones骨折があります。

 第2中足骨疲労骨折(行軍骨折)では、マラソン、ジョギング、ウォーキングや剣道などで見られることが多く、また安全靴着用で長時間歩行を強いられる作業でも起こることがあります。   
 この骨折は、軍隊の長距離行軍訓練などで多発するため行軍骨折と呼ばれることもあります。始めは第2中足骨の真ん中(体部)や先の関節辺り(頚部)に、腫脹、歩行痛、圧痛を生じ、次第にその程度が悪化してきます。レントゲンにおいても初期では影像に現れないことが多く、2〜3週後に再度撮影してわかることがあります。しっかりした安静固定を施行しないと、過剰仮骨形成を生じて慢性的な痛みに悩まされることが多く、稀に偽関節(骨折部分が癒合しないまま固まってしまう状態)を生ずることもあります。

 Jones骨折(第5中足骨近位骨幹部疲労骨折)では、サッカー、ラグビー、バスケットボールなど走っている最中に方向転換をする際、前足部(中足骨より先の部分)でブレーキをかけて捻る動作を繰り返す内に、第5中足骨の近位骨幹部(やや踵寄りの部分)に物理的ストレスが蓄積し、徐々に疲労性の骨折を生じます。この骨折は、できるだけ早期に適切な処置を行わないと、偽関節などに至ることもあります。

     


3. 踵骨骨折

 踵骨骨折の多くは、高所よりの転落などで踵を強く突いたときに起こります。骨折型により深刻な後遺症を残す場合もあり、診察時の骨折型の判定が重要となります。
 骨折型の分類は、種々ありますが、「関節内に骨折が及んでいるか」、また関節内骨折であれば「骨折線が後距踵関節に及んでいるか」で区別される分類がほとんどです。
 関節外骨折の場合は、転位が無い場合や転位があっても徒手整復により転位が整復されて固定により安定しているものであれば、保存療法のまま経過を観る方法が採られます。転位が大きい、骨折片が小さいなどで、徒手整復が困難な場合や、整復されても骨折部分が不安定で再転位しやすい場合は、手術により整復固定を行います。
 関節内骨折の場合は、転位がないものや転位があってもわずかで、徒手整復容易なものの場合は、保存療法と早期運動療法により関節拘縮や骨萎縮を防止する方法が採られます。舌状型骨折や陥没型骨折などで転位のある場合は、固定用のピンや鋼線を刺入して整復固定します。またそれらの方法では整復が困難な場合は、手術により整復固定がされます。

予後
 骨折部分が癒合しても、痛みや腫れがいつまでも取れないケースが多く、骨癒合後のケアに苦労します。疼痛や腫脹が消失するまで2〜3年を要する症例も非常に多く見られます。また、粉砕骨折やその他の後距踵関節に骨折線が及んでいる症例では、後遺症が生涯残存する場合がほとんどといえます。特に外傷後関節症などで変形を生ずると強い疼痛や歩行障害が残存します。この様な場合は、関節固定術などの手術を行うこともあるようです。

合併症
 合併症として頻度が高いものに脊椎圧迫骨折(主に第12胸椎、第1腰椎、第2腰椎に多い)があります。踵骨骨折では、そのほとんどが2〜3m以上の高所より転落して起こるため、転落の衝撃で脊椎の圧迫骨折を同時に受傷する場合が見られます。踵骨骨折受傷の際に、腰痛や背部痛が起こったときは、脊椎の検査も受けることを勧めます。
 その他の合併症で多いのは、腓骨筋腱腱鞘炎が見られます。踵骨の骨折により腓骨筋腱の走行経路がずれたり、あるいは狭くなることで起こります。


4. その他の足部の骨折
 その他では、距骨、立方骨、舟状骨の骨折が比較的頻度が高く、その多くは、足部の捻挫を起因として発生し、後遺症で慢性的歩行痛や変形性足関節症の発生などを招く場合があります。

     
     

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Copyright © 2005 秋元 英俊 最終更新日2011年2月1日